■ [ 2006年11月 ] の記事一覧


打合せルームに入った瞬間、机の上にある
家の模型に目が釘付けになった。
「まさかうちの?」「すごいすごい!」
平面だったものが立体的になるだけで、
こんなにリアリティが増すのか!
Aさんが「太陽の動きです」と言いながら
ペンライトを東から西へ動かし、


朝→昼→晩と家の中に光が差し込む様子を
見せてくれた。

1階の天井がトップライトになっているため、
光のシャワーを浴びながらキッチンに立てるという説明も、大きく納得。
更に模型の内部には、人間のミニチュアがもう暮らしているではないか!
「これって、私たち!?」
嬉しさあまり、ミニ施主をあっちこっち移動させてみる。
ミニ施主のおかげで、その空間のサイズや生活シーンなど想像力が掻き立てられる。
イメージが具体的になればなるほど、細部にわたるプラン調整がとんとんと進む。
そんな中、ふと、収納記事の打合せの際にライターさんが言ってたことを思い出した。

「今まで取材したセンターキッチンの家できちんと片付いていたところには、
必ずパントリーとクロゼットがありましたね」
キッチンまわりの細かいアイテムや食品を隠せるパントリー、寝室まで行かなくと
も家族の洋服や鞄を一時避難させられるクロゼット。
その2つの収納スペースこそ、片付くリビングの鍵だというのだ。我が家も即採用!

他に、キッチンやトイレの位置、2階のフリースペースなど微調整を
行っているうちに軽く3時間が経過した。

いつもこんな感じのノリで打合せは長時間に及ぶ。
新築物件を買ったならこの楽しい時間はなかっただろう。
ひとつの家を創り上げていく喜び、これぞ注文建築の醍醐味かな。



プラン打合せで議論になったのが、
リビングのポジショニングだ。
眺望をとるなら2階リビングがいいけど、
本当は地に足ついた1階リビングのほうが好き。
だって、重い買い物袋をキッチンに運んだり、
ゴミを出したりするのに階段を
昇り降りするのはどうも時間と
体力のロスな気がしてならない。

それに、リビングから庭にすぐ出られるという、
いわば大地とつながっている安定感が妙に落ち着く。
あとは、一軒家育ちのせいか知らないけど私は高所恐怖症なので、
高層マンションのテラスなど足がすくんで長時間いられないし、
崖の上に建っている家を取材したときなんてソワソワしちゃって
明らかに情緒不安定。

まあ、いろんな意味で1階のほうがベターかなぁと思いながらも、
お風呂も寝室も全部1階に固めちゃって2階は広々LDKのみ!という
開放感も捨てがたい・・・
それならいっそうのこと、1階リビング+3階ペントバルコニーでもいいんじゃない?
と結論はなかなかでない。

そんなリビング討論会の背景もあったが、最終的にAさんが提案してくれたのは
“仕掛けあり!遊び心あり!主役は1階”のプランだった。
まるで置き家具のようなキッチンをさりげなくリビングに配す。
そこからつながる中庭は、小高い外壁により近隣からの視線は完全に遮断される。
中庭には癒しの水盤。そして、庭に面して離れのような茶室風ゲストルームを。
外とつながる温泉宿風バスルーム。リビングと玄関をつなぐ土間・・・。

LDKもバスルームもプライバシーが確保されているので24時間カーテン無しで、
庭の緑と空の太陽を近くに感じられるというわけ。
悩みも吹き飛ぶ「1階が主役」の納得プランが、そこに生まれた。



建築依頼先の候補が3社に絞り込まれた。
A4ペライチの要望書をベースに『夢の家』
についてのプレゼン開始。
この後、早速プランをひいて概算見積もりを
出してくる会社もあれば、敷地調査にとりか
かる会社、作品集を見たり現場見学会はいけ
るがプラン作成以降は有料なので、という
ところもありフローは各社様々だ。

その間に私たちは相手の反応を見ながら、
設計者のセンスやキャラクター、企業ポリシーなど
いろんなことを感じ取るため全方位的にアンテナをはる。
『創造力があるか、提案力があるか』
『同じ言葉で語れるか、センスが通じ合うか』・・・・etc.
これから長いお付き合いになるので、
お互いに気持ちよく付き合っていけるかどうかが最重要。
言いたいことも言えない!
言いたいことが伝わらない!なんてストレス、ありえないから。

というわけで、いろいろ迷った挙句、最終的にパートナーに決めたのは
建築家のMさんだった。
実は、土地探しをぐるぐるしている時に、「いいなぁ、この家」って
見上げていたのがほぼ先生の作品だったわけ。
それに、何よりもMさんの人格や打合せの空気&温度が
私たちの体温にしっくり馴染んだ、と。
こうして人生初、建築家との家づくりが始まったのです。