詳しい説明でより安心な契約に?

建築士による契約前の「重要事項説明」が義務に

契約後の「こんなはずじゃ…」を回避する法がスタート

「建築士」とは、建物を設計したり、工事がそれに基づいてちゃんと行われているかをチェックすることができる国家資格。「構造計算書偽造事件」をきっかけとした2008年11月28日の改正により、受験資格が厳しくなり、3年に一度、定期講習を受けることも義務づけられた。今まで以上に専門的な資格も新設されるなど、建築士の"質"を一層高めるものになる。

今回の改正で施主が理解しておきたいのは「建築士が契約前に、施主に対し『重要事項』を説明することが義務づけられ、施主はこの内容を契約するか否かの判断材料にできる」ということだ。ここでいう「契約」とは「設計・工事監理契約」のことで、契約前に説明が義務づけられたのは、おもに「設計」と「工事監理」に関するもの。具体的には平面図、立面図などの設計図はどのようなものが作成されるか、工事が図面通りに行われているかの確認方法、設計や工事監理にかかる費用などで、以下の表の通りだ。事前に詳しい話を聞けることになるので、トラブルを未然に防ぐひとつの方法となるだろう。

建築士による説明が義務づけられた項目

・作成する設計図書(平面図、立面図、断面図など)の種類(※1)

・工事と設計図書との照合方法(立会い、抜取り検査など、どのような検査をするのか)と、工事監理(設計通りかの現場チェック)の報告方法(※2)

・報酬額(設計料・監理料)と支払いの時期

・契約解除の方法や特約などについて

※1:設計をお願いした場合

※2:工事監理をお願いした場合

2008年11月の法改正までは、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類の資格があったのだが、今回の建築士法改正によって、「構造設計一級建築士」と「設備設計一級建築士」という資格を新設。2009年5月27日からは、マンションやビル建設などでは、こうしたより専門的な資格者が関わらなければならなくなる。

契約前に建築士と話せる! わからないことは積極的に質問を

「重要事項」として説明が義務づけられたのは、あくまで設計・工事監理に関するものだが、ハウスメーカーの場合、家づくりの前に交わす「工事請負契約」の中に「設計・工事監理契約」も含まれているケースがある。その場合は「工事請負契約」の前に、「重要事項」の説明が行われる、ということだ。おそらく、設計や工事監理にかかる費用だけでなく、工事費用や住宅設備にかかる金額など、家づくりの総額も説明してもらえるだろうから、あとから予算オーバーとならないよう、しっかり内容を確認しておこう。
また、法の通りに設計・工事監理に関する内容が説明されるだけであっても、知識豊富な建築士と直接話ができるチャンスができることに変わりはない。気になることや、わからないことはどんどん質問しよう。その内容や対応に不満があったら、まだ契約する前だから、依頼先を変更することもできる。
契約前に重要事項について話し合いができるということは、施主にとっては、依頼先を検討するよい機会が与えられたと考えて上手に活用したい。ひいてはそれが依頼先選びに失敗しない効果的な方法となるだろう。

ハウスメーカーの対応はどうなる?

説明を行うのは、法によると「管理建築士など建築士事務所に所属する建築士」だ。つまり「指定登録機関に登録された建築士事務所に所属している建築士」でなければいけないということ。そういう建築士が、設計に携わっていなければ、そもそもこの法律は守れない。ハウスメーカーや工務店はどのような対応になるのだろうか。
日本最大580社のホームビルダー集団「JAHBnet」を主宰(月刊TACT調べ)する、アキュラホームに話を聞いてみた。
「ハウスメーカーは、建築士事務所登録しているケースがほとんど。その場合、説明にあたるのは自社の建築士資格をもつ社員です。今回の改正に関して、当社のように建築士事務所登録をしている会社では、対応に困るということはありません。
これまでは、施主が直接、建築士の説明を聞く機会がないまま契約に至ることが多かったのですが、今後は必ず建築士が、設計図の種類などについて説明をしてから契約することになります。お施主さまにとっては、いろいろ質問ができるよい機会が与えられることになったといえるのではないでしょうか」(アキュラホーム企画統括部)

 

トラブルを防ぐポイント

・「重要事項説明」は契約の判断材料となるもの。「未定」などの表記があったらきちんと説明してもらおう

・難しい言葉でもわからないことは全部聞いて納得してから契約をする

・説明をきちんとしないところとは契約しない

 

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