太陽光発電、地熱利用、屋上緑化etc… 自然と共生する住まいづくり

太陽や風、緑、大地や空気……などの自然の力を借りて、快適でエコな暮らしをする。そんな「自然と共生する」住まい方を望む人が増えています。
新しい技術を生かしたシステムも続々登場し、暮らしの快適度もアップ!
注目の最新情報をお伝えします。


太陽の力を借りる

太陽光発電システムで太陽の光を電気に利用

屋根に載せた太陽電池で太陽光エネルギーを受け、家庭で電力をつくる。無尽蔵の太陽エネルギーを利用したエコな設備の代表格。それが太陽光発電システムだ。
大まかなしくみは次のとおり。まず屋根の上の太陽電池モジュールが、太陽光エネルギーを直流電力に変換する。この直流電力は、家庭用の交流電力に変換され、分電盤をとおして家庭内の各コンセントに分配される。発電した電気は貯めておくことが出来ないので、余った電気は電力会社が買い取ってくれる。これらはすべてシステムが自動で行ってくれるので、難しい操作は必要ない。
気になる発電量だが、右のグラフを見てわかるように、冬場と真夏以外は発電量が消費電力量を上回っている。たとえば東京都で3kWのシステムを設置した場合、約7割の電気を自給できるといわれている。設置費用の目安は1kWあたり約70万円程度から。通常3〜4kWのシステムを設置することが多い。地方自治体によっては補助金制度を利用可能だ。

「住宅用太陽光発電システム サンシエラ」施工例

設置場所によって発電効率が変わる。南向きの屋根面がベストだ。また、屋根勾配は20〜30度前後が望ましい。●写真提供/昭和シェル石油「住宅用太陽光発電システム サンシエラ」施工例

月毎の発電と消費電力

〔試算条件〕使用モジュール:多結晶太陽電池モジュール(SJM) 太陽電池容量:4.288kW 設置場所:東京/方位:南/傾斜角:30度 消費電力量は、東京在住の4人家族の平均的な数値に基づいて算出。発電量(交流換算値)は太陽電池発電量×0.08にて算出。●データ提供/昭和シェル石油


太陽の熱エネルギーを給湯や暖房に活用

太陽光と同じくクリーンで無尽蔵のエネルギー、太陽熱。この熱を給湯や空調に利用して、電気やガス、灯油などの消費量を減らすことができる。環境負荷がなく、経済的なメリットも大きい。屋根の上に集熱器を載せて温水を得る「太陽熱温水器」、不凍液や空気を熱媒として給湯する「ソーラーシステム」などがある。また、特別な設備は使用せずに、間取りなどの工夫で蓄熱や換気を行う「パッシブソーラーシステム」もある。気候条件、周辺環境などを考慮した設計が必要だ。

太陽の熱エネルギーを給湯や暖房に活用

太陽熱エネルギーを床に蓄熱し、家中丸ごと24時間暖房と給湯を可能にしたシステム。
1 屋根のコレクターで温まった不凍液が床下のパイプを循環し、昼間の太陽熱を蓄熱。
2 日差しがない時は補助ボイラーを使用。
3 暖房のいらない季節は太陽熱で給湯。●チリウヒーター「ハイブリッドソーラーハウス」※NEDOの補助金制度を利用可能

※独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
http://www.nedo.go.jp


大地の力を借りる

安定した地中熱を冷暖房に利用

地中の温度は年間を通じて約16℃前後。土の熱伝導率は低いため、地中は夏涼しく冬暖かい。この地中熱を活用した空調システムが開発されている(下のイラスト参照)。地中に垂直に5mの深さまでパイプを打ち込み、地下の熱を回収。建物内部に空気を循環させることで建物全体を温めたり冷やしたりするというしくみだ。従来の冷暖房にはない自然な涼しさ、暖かさ、適度な除湿・加湿が特徴。地域や使用状況、建物の性能にもよるが、冷暖房費を50〜80%削減できる。

安定した地中熱を冷暖房に利用

夏は室内の暖かい空気が上昇気流で天井裏にたまり、設定温度以上になると自動的にファンがまわって熱気を外に放出。同時に外気を地中パイプに送り込み、冷やしてから屋内に取り入れる。この空気の循環で建物全体を冷やす。●ジオパワーシステム「地熱の家」

風の力を借りる

最新の小型風力発電機は家庭での発電も可能

クリーンエネルギーの代表格である風力発電。戸建住宅に設置可能な小型の風力発電機は発電量が不十分で、これまで一般家庭への設置は進んでこなかった。だが最近、十分な発電量を持つ製品が出てきている。下で紹介した小型風力発電機は、平均風速5.6〜6.5m/sにおいて1基あたり100〜120kW時の確保が可能。親子4人家族における平均消費電力量の約3分の1をまかなえる計算だ。

エアドルフィン マーク・ゼロ

小型風力発電機●ゼファー「エアドルフィン マーク・ゼロ」

エアドルフィン発電量

「エアドルフィン マーク・ゼロ」は風速2.5m/sから50m/sまで発電が可能。設置場所:東京都渋谷区初台(本社屋上) データ取得期間:10日間 平均風速:3.9m/s 累積発電量:19.55kW時●データ提供/ゼファー



空気の力を借りる

都市ガスの水素と空気中の酸素で発電・給湯

都市ガスから取り出した水素と、空気中の酸素を化学反応させて発電。さらに、発電した際の熱を給湯に利用できる家庭用燃料電池システム「ライフエル」が実用化された。自宅で発電し、発電時の熱は給湯に利用できるため、エネルギーの無駄が少ないのが特徴だ。本格的な普及に向けて、一般家庭でのモニター設置が行われている。また、都市ガスあるいはLPGガスでガスエンジンを動かし発電、その際の排熱を給湯や暖房に利用する「エコウィル」というシステムもある。

都市ガスの水素と空気中の酸素で発電・給湯

燃料電池の中にあるセルスタックで、水素と酸素の化学反応により電気をつくる。その原理は「水の電気分解の逆」。電気と熱と水しか出ない、環境負荷の少ないシステムだ。CO2排出量も大幅に削減できる。●東京ガス「家庭用燃料電池 ライフエル」


空気中の熱を給湯システムに利用

給湯は、家庭におけるエネルギー消費の3分の1以上を占めるといわれる。この給湯に空気の熱を利用したのが「自然冷媒(CO2)ヒートポンプ式給湯機(通称:エコキュート)」だ。ヒートポンプのしくみは右のイラストを参照されたい。従来の燃焼式給湯機に比べて約3割の省エネルギー効果があり、またCO2排出量も約5割削減可能だ。割安な夜間の電気を使ってお湯を沸かし貯湯タンクにためておくので、給湯のランニングコストを大幅に下げることができるというメリットもある。

空気中の熱を給湯システムに利用

空気の熱を熱交換器で冷媒(CO2)に集め、その冷媒を圧縮機で圧縮してさらに高温にし、高温になった冷媒の熱を水に伝えてお湯を沸かす。空気の熱を上手に活用するので、投入した電気エネルギーの3倍以上の熱エネルギーを得られる。●東京電力「エコキュート」



緑の力を借りる

緑の持つ断熱効果を最大限に利用

庭に落葉樹を植えて夏は直射日光を遮り、冬は日差しを取り込む――「緑の力」を利用した知恵は昔からあった。さらに進んで近年では、軽量の人工土壌を使った屋上緑化も注目されており、最上階の部屋の室温が下がる、ヒートアイランド現象が緩和されるなどの効果が期待されている。防水や植物の根張りへの対策が不可欠だが、最近は屋上緑化システムが開発されており、施工面でも安心できる。

屋上緑化の有無による温度の違い

屋上緑化の有無による温度の違いを測定。緑化していない場合、屋上の表面は約60℃まで上昇。一方、芝生の表面は最高で約40℃程度と20℃もの差があった(データ/国土交通省)

ルーフガーデンシステム

普通の土に比べて1/2の重量の人工土壌などを用いて建物への負荷を軽減したシステム。●旭化成ホームズ「ルーフガーデンシステム」


■取材・データ協力
昭和シェル石油
チリウヒーター
ジオパワーシステム
ゼファー
東京ガス
東京電力
旭化成ホームズ
国土交通省
独立財団法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)


文/川口章子 イラスト/モリナガ・ヨウ